第三回みゆきの丘慰問落語会

 三寒四温を繰り返しながら、本格的な春に向かう時節となりましたね。昨日の3月21日木曜日、三寒の方に入ったのか、ちょっと肌寒い午後、上山市の「みゆきの丘慰問落語会」に 天空亭魚々太郎・宝笑亭卯さ銀・山彦亭虎之輔の3名がお邪魔してきました。入所者の 方々 とスタッフの方々、合わせて40名ほどの みなさんにあたたかく迎えられ、噺家3名も乗りに乗って演じ、外の寒さを吹き飛ばすホットなひと時を共有できたと思います。

 

【本日のプログラム】 〇宝笑亭卯さ銀「こうもり」 〇山彦亭虎之輔「火焔太鼓 」 〇天空亭魚々太郎「湯屋番」

 お客さまがお待ちかねでしたので、予定の13時半開始を5分早めてスタート。一番手として、スーパー主婦の 卯さ銀さんが華やかに登場しました。最初の自己紹介からギャグが次々に飛び出し、会場は笑いの渦。その勢いのまま、本日の演目「こうもり」に突入しました。 この演目の別名は「こうもりの恩返し」といい、「鶴の恩返し」の本歌取りになっている新作落語です。主人公はうら若き女性で、娘さんと二人で立っている姿を見た人から「妹さんですか」と言われたという 卯さ銀さん にはぴったりのネタで、会場は大いに盛り上がりました。

 続いては、わたくし虎之輔の登場です。 卯さ銀さんがしっかり場作りをしてくれたので、気楽にネタおろしの「火焔太鼓 」をかけることができました。この演目はネタだけで20分かかるので、マクラを早々に切り上げて羽織を脱いだところ、前にいるおばあちゃんが「暑いからねえ」とねぎらってくれました。予想しない展開になったのですが、にっこり笑って(けっして苦笑いではない)ネタに入った次第です。スタッフの方も含めお客さんがしっかり聴いてくれ、要所要所で笑ったり、うなずいたりというリアクションを返してくれるので、気持ちよく最後のオチまで演じきることが出来ました。これから、この演目にさらに磨きをかけて行きたいと思います。

 そして、トリは 天空亭魚々太郎 さんです。マクラで、自身の体験談を踏まえて、混浴風呂の魅力を熱弁。「混浴 風呂の 好きな人、手を挙げて」とお客様に聞いたところ、手を挙げた人は皆無でした。まあ「落語を話す人にも、好んで聞く人にも嘘つきが多い」という説もあり、真相はわかりませんが……。なお、落語愛好者には想像力豊かで、心の優しい人が多いという説もあることを補足しておきます。 さて、演目は案の定「湯屋番」。 艶笑落語ともいわれるこのネタには、 湯屋番 になった若旦那を誘惑する色っぽいお妾さんが登場するのですが、 魚々太郎 さん は大きな体をくねらせて大熱演。会場を大いに盛り上げました。追い出し太鼓が鳴り渡る中、高座を降りた魚々太郎 さん がサービス精神を遺憾なく発揮。「マジックを5分間やりましょう」と言って、次々に手品を披露。お客さん の参加するコーナーもあり、予定時間を15分延長してのお開きとなりました。

 「みゆきの丘慰問落語会」にお邪魔したのは、昨年の9月以来の二度目ですが、二回共に、会場のホールには紅白の幕が張ってあり、ホワイトボードには「歓迎 山形落語愛好協会」のポスターが張ってありました。そうしたあたたかい雰囲気の中、私たちも気持ちよく落語を披露することができ ました。また、終演後には入所者の代表として、男性と女性のお二人にお礼の言葉を頂戴しました。さらに、スタッフの方の提案で、噺家三人が入所者の方々に交じっての 記念写真も撮影 してきました。お声がかかれば、また喜んでお邪魔したいと思います。昨日は、誠にありがとうございました。      [山彦亭虎之輔]



 

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